チーズケーキ

モーツアルトらしいケーキ

チーズケーキ焼き上げ

「モーツアルトらしいケーキはどれですか?」
「はい、当店自慢のチーズケーキでございます。」
こんな会話がいつも交わされ続けて、今日になりました。実はどのケーキもみなおすすめなのです。開店当時からおつくりしているケーキの名前が出そうになるのですが、菓子職人としておすすめしたいのはやっぱりチーズケーキなのです。
このケーキにはスマートなデコレーションもありません。
何の変哲もない、といってしまえばそうなのです。
しかし、毎日つくり続けてきて、これほど複雑な技術の蓄積を必要とするケーキも珍しいと、いわば驚きにも似た気持ちを抱かされるというのが私たちの正直なところです。

自然のままの素直な風味

ケーキカットP

チーズケーキはその名のとおりチーズが主役のケーキです。チーズはご存知のように牛乳からつくられます。チーズケーキには、幼子が生れ落ちたときに自然に口にした、乳の味、ほのかな甘さ、それにとろけるようなやわらかさがあります。
いいかえれば、牛乳の肌をしたお菓子がチーズケーキであり、幼児性の芸術品といわれる由縁です。
材料は、熟成させないフランスのクリームチーズ、ジャージーミルク、生クリーム、少量の小麦粉、そして新鮮な卵です。このびっくりするくらいたっぷりの乳製品をつかったタネ生地に、熱い蒸気をまんべんなく通しながらじっくり時間をかけて柔らかく湯煎で蒸し焼きをします。
そうすることで、なめらかな口どけ感を出し、あの独特な旨味が醸し出されるのです。
そしてチーズのくせを取り除いてショートケーキを召し上がられる感じを目指してつくりました。
このチーズケーキ、私たちの追い求めるおいしさの形をとてもよく示してくれるようです。

お菓子作りの哲学

いいお菓子とは、複雑な内容に対比して単純に仕上がること、かつ仕上がり状態が複雑である、という職人哲学を一番よくあらわしているように思えるこのチーズケーキ。
食べるたびに味わいが微妙に交わりながら、それていて、いつ食べてもノスタルジアの世界に誘われてしまう。変化と不易の織りなす綾に、職人としての心が惹かれるのだと思います。
永い伝統に培われたドイツの名菓を受け継いで、これからも大好きなお菓子作りを続けていけることに大きな感謝を感じています。

原材料

卵、牛乳、砂糖、チーズ、小麦粉、パイナップル、生クリーム、洋酒、米飴、バター、植物油/クロレラ抽出液、安定剤(増粘多糖類)、ソルビトール、乳化剤(大豆由来)、ベーキングパウダー、香料、クエン酸